FT-101Zの改造

FT-101Zをお気に入り送信機に改造、現状の課題と対策、運用してみる

FT-101Zを「お気に入りの送信機に改造」プロジェクトは実際にQSOしながら問題点を抽出する段階になってきました。写真は実際に運用するために作業台に設置してみたところ。
2017.07.26

はじめに
　FT-101Zを「お気に入りの送信機に改造」プロジェクトは、ようやく実際に試験運用しながら問題点を抽出、改善の繰り返しの段階まできました。ダミーでの送信テストで問題無くても、アンテナを接続しての運用で叉新たな問題が出てきます。
　今回は、今までの主なトラブルと、その対策、実際に運用した結果についてまとめてみます。

現状のAssy状況

1. 一通りのAssyが完了し、後は上下キャビネットの取り付けを残すのみとなり、現在上下キャビネットがオークションに出品されるのを気長に待っているところです。

前回までの主なトラブル状況
　

1. 送信パワー不足。デバック中の感電事故を防ぐ意味からファイナル(6146x2)への供給電圧は300V程度に抑えていましたが、電圧を900Vにして再確認したところ60W(@7MHz) 程度になりました。ファイナルを交換すれば、もう少し出そうですがQRP運用メインでは十分なPWRなので、これで良しとします。
2. CWキーアップ時にオーバーシュート状のキークリック発生。対策として、CW用CAR OSC回路の供給電圧TX+8V系とその他への供給TX+12V系のON/OFFのタイミングを変更。TX+8V系の OFFタイミングを12Vよりも約2ms遅らせることでダミー送信では改善できましたが、実運用では、PWRを5W程度に絞った時にまだすこしオーバーシュートが残っています。
　この問題については、引き続き検討を要します。
3.　CWセミブレークイン動作でDelay時間を0.2-0.3secに設定すると、ごく稀にキーイングの頭切れが発生する。ソフトの問題で、送信割り込み処理内の割り込み禁止に問題があったようです。ソフトの変更により、頭切れはなくなりスムースにフルブレークイン動作ができるようになりました。
　当初、心配していたPICソフトのフルブレークイン操作感も全く問題無く「お気に入り改造」ですが、送信系の+12Vと+8Vをそれぞれ独立して細かくタイミング制御したほうが良かったと思います。今後はもう少しPICマイコンのI/Oポート数の多い物を使い完成度をUPしたいところです。
ソースリストを参考まで、

4.　SSB変調周波数特性の低域不足、AM変調周波数特性の高域不足。変調にすっきり感がない。　AMモードでのQSO結果では、特に高域不足は感じられないとのレポート、変調段に挿入のLPF特性が出ているものと推定。SSBの低域不足については-7db(@300Hz Ref1kHz)になっていたので、LSBのCAR周波数を調整し-6db(@300Hz Ref1kHz)に設定。
　叉、プロセッサー用フィルターを使用した、ワイドフィルターによる変調では、「低域が改善する」とのレポートで、切り替え効果が実感できます。
　SSB時変調のすっきり感については、QSOのレポートでは「回り込みのようだ」というレポートと、「異常無し」というレポートにわかれましたので、まずはモニタで最も気になるハム音の対策を検討。

　左写真はオリジナルの残留ハムによる送信モニター波形と、ゲインを下げた送信モニター波形。いずれも20mV/div。
　無変調時の残留ハム音は実運用上、問題無いレベルですが、やはりモニターでは気になります。
　対策として、低圧電源平滑コンデンサーの容量UP、オリジナル3300uF/35Vを15000uF/35Vに交換。送信MICアンプ(TA7063P)のゲインを40dbから16dbに落とすことで対策としました。
　当局の運用では、外付けにMICアンプを使用しますので、内蔵のMICアンプに高ゲインは不要です。　

　

5.　サイドトーンモニター音の立ち上がりが固い感じ、「カツカツ音」が感じられ、もう少しソフトなモニター音にしたい。
　原因として、オリジナル回路ではサイドトーン発振回路への電源供給をTX+8Vとして送信時供給するようにしており、この電源のON時にクリックが発生しています。セミブレークイン動作では気にならないクリック音も、フルブレークイン時には、キーダウン毎に発生します。
　対策として、サイドトーン回路への電源供給のON/OFFは止め、連続供給としました。
6.　ファンの風切り音が意外とうるさい。ファンはDC24V品(秋月で購入)を通常は12V程度で使っているがそれでも風切り音がマイクに入ってしまう。
　対策としては、ソフトの変更により、送信時強制的にファンを低速回転に切り替える、という案も考えられますが今のところ実運用でどの程度、ファン音がはいっているのがレポートをもらいながら詰めていきます。

　　 実際に使ってみて
　7MHzでの受信に関して、

　夜間に7.2MHz帯のスプリアス受信がハムバンド内に感じられます。先に改造したFR-101Zでは感じられないので本機だけの症状でしょうか。
　・CWフィルターを内蔵していませんが、WIDTH調整でそれなりに使えます。
　・AMモード時は、SSBフィルターをスル―にしてWIDTH用のフィルターで聴くことになりますが、やはり帯域が狭く感じます。WIDTHをすこしずらして聞けばそれなりの感じに聴けますが、AMフィルターが欲しくなります。
　・アナログVFOの操作感とCWのピュアーなトーンはやはりFBです。
送信に関して、
　・CWフルブレークインのリレー音はあまり気になりません。モールドタイプのパワーリレーでも十分なスピードで実用になります。
　・6146 SG電圧可変回路は、あまり使用頻度もなく無くても良かったようです。DRIV VRで2W程度までPWRが絞れます。
　・フィルターのワイド/ノーマル切り替え、逆サイドへの漏れなどの詳細データを今後取っていく必要がありますが、切り替え効果は実感出来ます。

送信部と受信部のデモの様子をアップしてみました。
FT-101Z Transmitter demo(動画 YOUTUBEへ)......FT-101Z送信部改造のデモ
FT-101Z Receiver demo(動画 YOUTUBEへ)......FT-101Z受信部改造のデモ

最後に
　FT-101Zを「お気に入り送信機に改造」プロジェクトは一旦終了とし、今後は先に改造した「お気に入り受信機」FR-101Zと組み合わせて「お気に入りシャックの構築」をしていきます。
　最後に、FT-101Zや多くの関連部品を提供いただいた、JO1LZX OMに感謝です。

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