L/Cメーターの製作

目標仕様
　L/Cメーターとして以下の様な仕様を設定します。

• 1. 測定範囲　L=1.00uH〜10.0H程度、C=1.00pF〜100.0uF程度　特に10uH以下、100pF以下の繰り返し測定ばらつきを少なくするよう目指す。
• 2. 測定レンジ　L-Low 1.00uH〜1.00mH L-High=1.0mH〜10.0H C-Low=1.00pF〜1uF 無極性　C-High=1uF〜100.0uF 無極、有極いずれにも対応。
• 3. 測定精度　+/-5%以下　測定精度は使用する基準L、Cの精度で決定されるので、後日高精度のL、Cが入手できた時点でソフト補正出来るようにしておく。
• 4. 使用マイコン　PIC16F88を使用。プログラム容量2K以上と見込まれるのと、当局の開発環境の都合から決定。
• 5. 動作電圧　12Vtyp 主として作業ベンチ上で使用し、かつ使用頻度上BATT動作よりも外部電源動作の方が便利そうです。
• 6. 表示方法　8文字x2行の白文字LCDを使用。

測定方式の検討
　設計に先立ち、L/Cの測定方法についてどのような方式があるのか、また各方式の特徴を検討します。

• 1. 秋月Kitデジタルインダクタンスメーター、測定原理がしっかりしていて高精度測定が期待できるがハード規模が大きくC測定との共用化が困難。
• 2. マルチバイブレータとLを組み合わせ発振周波数からL値を算出する方式、以前EDNのデザインアィディアに掲載されていた回路。本回路は実際にシミュレーション実施 したり、実験回路も組んで確認したところなかなかFBですが、レンジ切り替え回路がやや複雑化するなどの難点があります。
• 3. LM311コンパレーターとL/Cを組み合わせ、発振周波数からL値を算出する方式。製作記事やKitも多く、C測定回路の共用化も簡単。
• 4. Lにパルスを供給してその過渡特性からL値を算出する方式。数uH程付近の高分解能が得られず、繰り返し測定値のばらつきが予想される。

• 5. 秋月Kitデジタル容量計、555タイマーICを使用した方式。100pF以下の小容量の測定には不向きだが、uF台の容量測定には無極、有極いずれも対応。本Kitは当局も長年使用 してきましたが、表示LEDに小数点がないので表示の値から実際の容量値がすぐに換算できない。
• 6. 上記3と同じLM311コンパレーターとL/Cを組み合わせ、発振周波数からC値を算出する方式。アルミ電界コンデンサーなど有極性のコンデンサー測定には不向き。

ブロックダイアグラム
　

左図にL/Cメーターのブロック図を示します。測定レンジに応じた発振回路を組み込みました。LM311発振回路はL/C測定共用なのでリレーで切り替えても良いのですが、 リレーのコストに比較してLM311のコストの方がはるかに安価なのでLとCの測定回路を分離しました。 　分離することで定数の最適化が図れます。定数例としてLの測定にはLref=100uHと1000pFでの共振周波数を基準にした場合、Lx=1uH測定時はΔ3kHzとなり0.1secゲートのカウンターで容易に 検出できますが、Cx=1pF時のΔFは0.3kHzしかないのでL測定と比較して分解能が低下します。 　改善としてC測定時は、L=1mHとCref=100pFの共振周波数を基準とすればCx=1pFでも十分な分解能が得られます。 　LM311の発振周波数はシミュレーション値と計算式(1/2π√LC)と良く一致しますが、L=1mHと1000pFの組み合わせあたりから計算式とずれてくるので、0.01uFを追加して1mH以上のL値に対応 するようにします。 　叉、uF以上の容量測定用として秋月Kit Cメーターを組み込み、コンデンサー容量で決定されるパルス幅をゲートとして、別555のクロックをカウントしてパルス幅を測定します。左図の点線 内は秋月CメーターKitの基板を利用します。

製作
　

製作は、今まで使用してきたCメーターのケースやパーツを利用する前提で、基板をCメーターと同一サイズで製作しました。LM311はフラットパッケージ品を使用しパターン面に 実装します。 　その他のCR類もチップタイプを使用しているので、基板上は比較的すっきりしています。 　マイコンはデバック途中段階、ICソケットの上にバーインソケットを乗せてICの抜き差しを容易にしています。これらのソケットも含めてマイコン開発環境となるので、20ピン 以上のマイコン採用は控えています。

　 　
　次回は詳細回路図、ソフトについてUPする予定です。

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